罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム ケイドロとお姫様
「詳しい話は明日だ」
仁はそういい残し、部室を出て行った。ゲームまであと五日だというのに、こんなにのんびりした段取りでいいのだろうか?
不安を感じながら部室から出てきた優衣は、真っ暗になった校舎にうっすらと浮かび上がる人影を見つけた。
「……裕子?」
首を傾げながら訪ねてみる。ボーっとした非常灯の明かりの元に、裕子は俯きながら立っていた。
「裕子、どうしたの?」
「ちょっとね、人を待ってたの」
なるほど。優衣は頷いた。
「修二と一緒に帰ろうってワケね?」
「……なんで呼び捨てなの?」
裕子は優衣をきつく睨んだ。優衣は慌てて口を押さえる。
「私が待ってたのはね、優衣だよ」
「あ、あたし? 何で?」
裕子の言い知れぬ迫力に、優衣は動揺した。裕子の長い髪にうっすらと落ちる影が、恐ろしさに拍車をかける。
こんな雰囲気が得意な人がいるとは思えないが、例にもれず優衣にとってもそれは苦手な雰囲気だった。
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