罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
昼休み終了のチャイムがなっても、クラスに入る事ができない生徒達で廊下は埋めつくされている。隣のクラスも、隣の隣のクラスも同じような状況だ。
優衣は必死にカエルを放り投げ、ようやく教室内のカエルも少なくなってきた。
「おい! 何やってるんだ」
ようやく教室に牧原先生が入ってきた。先生は教室の異様な光景に気づき、声を張り上げる。
「こんなふざけた事をした奴は誰だ!! 全員教室に入って来い」
先生に怒鳴られ、生徒達は恐る恐る教室に戻ってくる。先生は黒板を指差した。
「『牧原先生は死にました』? ふざけるな!! 生きてるだろ!!」
先生は教卓の花瓶をどけ、生徒達を席に座らせる。
「おまけに吉村! なんだその花輪は!!」
裕子は小さく「知りません」と呟いた。先生はテンションが上がっていて、更に裕子を問い詰める。
「知りませんって事はないだろう! めちゃめちゃ祝われてるじゃないか!! ふざけるのもたいがいにしろ!」
裕子は俯いたまま震えている。さすがに可哀相だなと思った優衣は立ち上がり、裕子の弁護をした。
「あの〜、裕子は悪くないです。この状況を作ったのは多分、謎の集団の悪ふざけだと思うのですが……」
「謎の集団!?」
「はい。罰ゲーム倶楽部とか言う変な奴らです」
麻紀がそう付け加える。罰ゲーム倶楽部と聞いた瞬間、牧原先生の顔が曇るのがわかった。牧原先生は力なく肩を落とし、黒板を消し始めた。
「分かった……。皆でカエルを片付けてくれ。授業はその後に始めよう」
「え? それだけ?」
優衣は先生に突っ込んだ。
「こんな大事になってるのに、犯人を捜さなくていいんですか?」
先生はうな垂れて、小さい声で呟く。
「勘弁してくれ……」
麻紀が優衣の肩を掴んだ。
「噂とはちょっと違うけど、ヤバイクラブっていうのは本当みたいだね」
教室内にはカエルの鳴き声だけが響き渡っていた。
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