罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん


 〜決着〜


 優衣はグーを出し、辺りを見渡した。

 周りの光景を見て愕然とする。パー、パー、パー、パー、パー。見渡す限りのパー。なんと全員がパーを出していた。

 仁がこらえきれずに爆笑する。

「あはははは! マジでウケるなお前!! あはははははは!!」

 優衣は自分の手を眺めた。ま、負けた……? 正義が負けた。

「『あたしが勝ったら、あんた達は私に絶対服従っていうのはどう?』とか言ってたのに、ストレート負け! あはははははは!!」

 周りの人間も全員大笑いしている。優衣は真っ赤になって仁を睨んだ。

 仁は腹を抱えて笑っている。さっきまでの恐ろしい雰囲気はどこかにいってしまって、今は純粋に遊びを楽しむ子供のようだ。

「いやー、久々に笑わせてもらったわ。大したガキだ」

「うるさい!!」

「これからお前は罰ゲーム倶楽部の一員だ。もちろん部費の30万も、必死にもぎ取ってきてもらうぜ」

「う〜〜」

「よろしくな。新入り」

 啓介がポンッと肩を叩く。優衣は地面を踏みつけた。ソフトモヒカンが笑いながらタバコに火をつけている。

「タバコやめてよ!! 目が痛いじゃん!!」

「お? 新入りが偉そうに……。スカートめくっちゃうよ?」

「やれるもんならやってみろ! 返り討ちにしてやる!!」

 イライラが収まらない優衣の元に修二がやってくる。

「意外な展開になっちゃったね。優衣ちゃん」

「ふん。絶対にすぐやめてやる」

 仁が遠くから「やめたら制裁だぞ〜〜」と声をかける。

「まあ、これからよろしくね」

 修二が手を差し出し、握手を求めてくる。優衣はその手をじっと眺めた。

「ねえ、修二」

「ん?」

「裕子と付き合ったのって、ひょっとして罰ゲーム?」

「そうだよ」

 修二は爽やかに笑っている。優衣もニッコリと笑って手を差し出した。

「そっか。罰ゲームね……」

 優衣はその手を強く突き出し、修二の腹にめり込ませた。修二は顔を歪ませ、うめき声を上げながらヒザをつく。愚かな男には極上の痛みを。それが優衣のこだわり。

「な、なんで……? 優衣ちゃんが怒るの?」

「怒ってないよ? スカートめくりの仕返し!!」

 優衣は修二を見下ろしながら鬼の首をとった様に叫ぶ。修二はぐったりとしている。

 その光景を見て、仁はまた大笑いした。

「いっとくけど、罰ゲーム倶楽部はハンパじゃできねえからな。覚悟しておけ」

 仁が優衣にカードを渡す。カードには「罰ゲーム倶楽部部員証明書」と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 こうして優衣は罰ゲーム倶楽部の新たなメンバーとなった。

 この後に起こる数々の不幸を経験した優衣は過去を振り返ってこう語る。

 

「すっぱだかにされた方がマシだったかも……」

 

 

 

 

第一ゲーム 完


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