罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


〜コール〜


「さあ、彩ちゃんも来たし、2回戦もばっちり勝つよ」

 

 優衣はさっきまでの泣き顔がウソのようにカラッとした表情に戻っている。彩は大きく頷いた。

「優衣頑張って。優勝したらパーティだよ」

 

「ていうか次の相手は優勝候補でしょ? 見た目もなんだか強そうだよね。武士って感じで」

 

 麻紀が優衣にタオルを手渡しながら言った。優衣は頷いて、次の対戦相手、飯島ゆかりの顔を思い浮かべる。

 武士か……。確かにそんな感じかも。引き締まった切れ長の細い目、頬はこけていて、試合の時は長い髪を後ろで結ぶから、なんだか刀が似合いそうだ。

「まあ、勝てるでしょ。優衣なら」

 彩が何の根拠もなく断言する。麻紀は片方の眉を上げて彩を見る。

 

「そうですかね〜。なんか心配なんですよ。優衣っていつもどっか抜けてるから」

「まあ、確かにそうね」

「おまけになんか最近変なんですよ。一人でボーっとしてたかと思うと急に癇癪おこすし。いきなり『ぶっとばす!!』とか叫んだり」

「それは確かに変ね」

「な、何も変じゃないよ!! 試合行ってくる」

 優衣は慌てて立ち上がった。この話題は引き伸ばされるとちょっとまずい。

 優衣はそのまま二人に背を向け試合場に向かった。

「優衣」

 

 彩に声をかけられ、優衣は振り返る。

 

「大丈夫、勝てるよ」

「うん」

「あたしを信じて。優衣は勝てる」

 

 優衣は口元に手を当てて、いたずらっ子のような笑みを浮かべた。

「う〜ん。どうだろうな。彩ちゃんは嘘つきだからな〜」

 

 彩は目を丸くした。

「あ〜、まだほじくり返すんだ。2年前の事」

「あはは。かまってくれなかった仕返し。じゃあ勝ってくるよん」

 優衣は軽快なステップを踏みながら階段を上っていった。


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