罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


 優衣が急いで控え室で着替えて外に飛び出した。観客席のカバンをとって、急いで学校に行かなければいけない。

 

 優衣が走り出そうとすると、後ろから男の声が聞こえた。

「あ〜、ドロップキックのねえちゃん」

 優衣が振り返ると、一人の男が優衣の元へ走ってきた。

「いや〜。面白かった。あんた、すごいな」

「は、はあ。どうも」

 優衣は落ち着きなくピョンピョン飛び跳ねる。

「俺は今日友達の付き添いで来たんだけどな。つまらない試合ばっかで退屈しとったわけよ。そこにあんたのドロップキックだろ。久々にぶっとんだわ」

「あ、あの、急いでるんで」

「あ〜、そうかそうか。悪いね。面白そうなヤツを見ると、つい話し掛けちゃうんだよね。俺」

 優衣が見つめると、男は恥ずかしそうに鼻をかいた。身長は低めで自分よりもちょっと高いぐらい。高校生だろうか?

 って、そんな事考えてる場合じゃない!!

「じゃあ、行きます!!」

「おう。ねえちゃん。これやるよ」

 

 そう言って男は優衣に四角い缶を投げ渡した。優衣がそれを受け取ると、缶の中から金属のいい音が響く。ドロップスだ。優衣は上目遣いで男を見た。

 

 

「……ドロップキックだけに?」

 優衣のセリフを聞いて、男はニカっと笑った。

「はは。ドロップキックだけに」

「じゃあ失礼します。ドロップスありがとうございました」

 優衣は振り返り、再び走り出す。男は手を振りながら大声で叫んだ。

 

「またな〜。優衣ちゃん」


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