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風が涼しい……。 

      

 


9月2日(弟は来年受験)               

あとはディズニーをパクって訴えられとけ。みたいな?

 


9月11日(戦士と僕)

 

織田無道さんは霊能力を高めるために高級外車を乗り回し、

 

霊と闘うパワーをつけるために普通に牛肉を食べるらしい。

 

それを聞いた僕はなんだか納得した。

 

確かに霊と闘うには相当なパワーが必要だと思う。精進料理で日々を過ごしているお坊さん達は、霊と接戦になった時に体力がもたないに決まってる。

 

そして、憎しみの塊である霊と闘い続けた霊能力者、つまり戦士達には当然癒しが必要になるだろう。

 

だから、肉を食うのも外車を乗り回すのも当然の権利だと僕は思っていた。

 

ただ織田無道がキャバクラで酒をあおっていた映像を見た時、僕は一気に冷めた。

 

これは別に「お前、坊主のくせに何キャバクラに行ってんだよ!?」とかそういった文句ではなくて、単純に織田無道という一人の人間に対する嫌悪感だった。(主に顔。顔が重点的に腹たつ)

 

そして、織田無道が警察のお世話になっている映像を見た時、僕は更に冷めた。

 

これは別に、「お前、神に仕える者のくせに何女の子にセクハラしてんだよ!?」とかそう言った文句ではなくて、

単純に織田無道という一人の人間に対する嫌悪感だった。

(警察のお世話になった瞬間に、織田無道という名前の無意味なほどの神々しさが無性に僕をイライラさせた)

 

無道。カタカナにするとムドー。そういえばドラクエ6あたりのボスが確かそんな名前だったような気がする。

 

退治する側から退治される側に回った織田無道さんの悲しいストーリーだと思ってプレイしたドラクエ。

 

「無道に会いに行こう」

 

そう思って始めたはずのゲームは1時間で飽きた。

 

これは別にドラクエが嫌いだからという理由じゃない。

 

単純に何時間もかけてたどり着くのが無道という現実が悲しくてしょうがなかったからだ。

 

 

久々に僕は日記を書いた。

本当に久々だ。

 

「よっぽど書きたい事ができたんだろうな」と思って読んでくれた人もいるかもしれない。

 

でも、書いたのはひたすら無道の話。なんでこんな事を書いたのかは自分でも分からない。

 

 

ただ、目を閉じると無邪気に笑っている無道の顔がまぶたの裏に浮かぶので、つられて僕も笑った。

 

笑ったのは無道が好きだからじゃない。あくまでつられただけだ。

 



9月19日(世界で一番美しい乗り物『春日』に捧ぐ)

 

「子供の頃の夢」を叶える事が出来る人は少ない。

 

宇宙飛行士、探検家、スポーツ選手、歌手。

 

子供に夢を与えるものは容易に手の届かない物。それは世間の常識であり、僕もそう教えられて育ってきた。

 

僕がまだ幼稚園に通っていた頃、友達の春日君は言った。

 

「僕は機関車トーマスになる」と。

 

僕は幼いながらに「それは無理だ」という事が分かっていたが、

 

春日君の顔があまりにも真剣だったため、あきらめさせる事ができなかった。

 

「俺は絶対になる! 機関車トーマスに絶対なる!!」

 

春日君の声は未だに耳に残っている。彼はトーマスになれたのだろうか?

 

 

 

それから数年後。

 

ふと小田急線で電車を待っていると、ホームが急にざわつきだした。

 

にぎわっている人混みを掻き分けると、遠くから一本の電車が来ていることに気がついた。

 

 

そう。春日君だ。

 

春日君の顔がはまった「各駅停車 小田原行きだ」

 

春日君はすぐに僕に気づき、電車のルールを完全に無視して僕の前で停車した。

 

「よう。ラビハチ」

 

「……何やってんの?」(←精一杯の冷たい反応)

 

「何って、電車さ!」

 

電車をやっているという言葉は聞いたことがないが、春日君のやってる事は間違いなく電車だった。

 

「ま、今は機関車トーマスじゃなくて……、小田急トーマスだけどな」(←なぜかちょっと照れてる)

 

正直言って、あんまり話しかけて欲しくなかった。だって周りの人からの視線があきらかに痛い。

 

帰れ。小田急トーマス帰れ。

 

「よし、ラビハチ! 乗っていけよ! タダにしてやる!」

 

タダも何も僕は定期だ。イマイチ電車のルールが分かっていないくせに顔をはめている春日君に虫唾が走った。

 

「乗っていけって!」

 

「いや、本当にいいや。出発しな」

 

「そっか……」

 

……。

 

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

 

……。

 

 

 

「やっぱり乗ってけって!」

 

「いいって!! 早く消えろ」

 

アナウンス『え〜、各駅停車小田原行き、発車します。閉まるドアにご注意ください』

 

「今はまだ小田急線だけど、いずれは機関車になってやるからな〜〜」

 

そう言って春日君は去っていった。

 

「夢は叶えるためにある」と言うが、「あきらめたほうがいい夢もある」って事を僕は知った。

 

だけど、春日君のあの夢に向かってひたすら進んでいくひたむきな顔を思い浮かべると、僕は自然と笑顔になっていた。

 

 

 

 

「まったくよ、周りの人たちがみんなこっちを見てるじゃねえかよ。迷惑考えろよ。春日のカスが!」

 

ふともらした言葉はダジャレになっていて、僕はまた笑った。

 


 

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