罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
カエルを次々と投げ捨て、花輪を片付ける。そのすべての作業が終わった時、授業は時間はすでに半分なくなっていた。
「あ〜、もう! めんどくさいなあ!!」
優衣は修二をこらしめなかった事を後悔していた。こんな無茶苦茶な事をやってくるなんて……。おまけにスカートめくりなんてされたのは初めてだった。
湧き上がってくる怒りを抑えるために優衣は頭を抱えた。もっときつく殴っておけばよかった。もっともっと、足腰が立たないぐらいに。
「なんだかんだいって、結構面白かったね」
後ろの席から麻紀が声をかけてくる。
「全然面白くない」
優衣は口を尖らせた。一番許せなかったのは女だからって理由で完全になめられてたことだ。次出会ったら許さない。
優衣の表情を見て、何かを感じ取ったのか、麻紀は優衣をなだめる様に語りかけた。
「まあ、無茶な事はしないって言ってたし、楽しそうなクラブじゃん。優衣も入れば? 罰ゲーム倶楽部」
「誰が!!」
授業中にも関わらず、優衣は大声で叫んだ。先生とクラスメートの視線が一斉に優衣に向く。
「何みてんの?」
優衣はクラス全体を睨んだ。自分が大声で叫んでおきながら、周りにいちゃもんをつける。我ながら無茶苦茶だと思ったが、それでも優衣のイライラは止められなかった。クラスはシンと静まり返る。
「あ〜、じゃあ、授業を始めるか」
牧原先生が教卓に立った。朝と比べてずいぶん元気がなくなっている。罰ゲーム倶楽部とはそこまで怖い集団なのだろうか? 少なくとも、優衣にとってはお調子者のガキにしか見えない。
「叫ぶなっつーの」
優衣が後ろを振り返ると、啓介が机に伏したまま睨んでいる。優衣は「悪かったね」と小さく捨て台詞を吐いて体の向きを戻した。
「今日は幸せな一日になると思ったのに……」
優衣の言葉を聞き、後ろから麻紀が口を挟む。
「まだ昼の1時半だよ。悪い日って決め付けるのは早いんじゃない?」
優衣は顔を上げる。そうだった。この後は生徒会の集まりがある。
「そうだね。放課後は彩ちゃんに会うんだ」
「そうそう。生徒会の顔合わせで彩さんに癒されてきなよ」
麻紀は頬杖をつきながらしみじみと頷いている。優衣は彩の優しい笑顔を思い浮かべて気持ちを切り替えることにした。
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