第2ゲーム だるまさんがころんだ
腰を少し落とす。相手の呼吸を感じ取る。肩、足、腰のリズムを読む。
構え、仕草、癖、攻撃のテンポ、そして視線。うん。ばっちり。
相手の呼吸に合わせて優衣は前に飛び出した。
相手の一瞬の隙をついた上段回し蹴りは側頭部に鮮やかに決まる。自分よりも一回り大きい相手は優衣の前にガクンと崩れ落ちた。
「一本!!」
神奈川総合体育館が歓声で満ちた。さすがに全国大会になると会場は人で溢れ、歓声が骨まで響いて気持ちがいい。
優衣はフラフラになった相手に手を差し伸べ、ゆっくりと起こした。
相手は何が起こったのか分からないといった表情で立ち上がる。狙い通り決まった。相手に痛みすら残さない。それが優衣のこだわり。
ゆっくりと開始線に立ち、お互いに礼をする。
「よし! 1回戦突破」
優衣は左腕をグルグルと回した。今日も絶好調だ。
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