罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
〜カエル地獄〜
「うおおお! 気持ちワリィ!!」
「捨てて〜。誰か捨ててきて〜」
優衣はガマガエルを一匹つかみ、窓の外に放り投げた。
「これも?」
「あはは、罰ゲーム倶楽部だ」
麻紀は冷静にカエルを一匹掴んだ。そのままカエルに語りかけるように呟く。
「すごいね。なんのためにこんなことするんだろうね」
「暇なんだよ絶対に」
優衣はカエルを掴んでは窓の外に捨てていく。
教室を見渡すと、カエルはそこらじゅうを飛び回っていて、生徒達はほとんど廊下に出てしまっている。現在教室にいるのはクラスの半分ぐらいだ。カエルをものともしない運動部の生徒。科学クラブのめがね君。机に座ったまま俯いている裕子。そして……。
「……うるせぇな。叫んでんじゃねーよ」
優衣の後ろの席の水島啓介が机に伏したままダルそうに顔を上げていた。優衣は危険を呼びかけてみる。
「啓介、カエルだよ。逃げなくていいの?」
「カエルごときで騒ぐなよ。眠れねーだろうが……」
目の前に飛びついてきたカエルをポイと放り投げ、啓介は再び机に突っ伏した。こんな異常事態にも関わらず、まだ眠りたいらしい。
この男だけは何を考えているのか分からない。いつも眠そうで、何をするにもダルそうにしている。肌は青白くて、短めの茶髪を髪の毛をツンツンに立てているその見た目は、なんだか言い知れぬ迫力がある。
「啓介、怖くないなら手伝ってよ」
優衣が呼びかけても、啓介はまったく反応しない。どうやらもう眠ってしまってしまっているようだ。
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