罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
放課後、優衣は麻紀と共に生徒会室に向かっていた。
生徒会室は一階にあり、入り口のドアはまるで校長室のようなしっかりとした木で補強されている。こんな豪華な部屋を使うなんて、自分が特別な人間になったみたいで少し気分がいい。どっかのクラブのVIP会員みたいだ。
優衣は生徒会室のドアに手をかけた。麻紀が軽く声をかける。
「どうする? 終わるまで待ってようか?」
「いや、先帰ってていいよ。遅くなるかもだし」
「そう、じゃあね」
麻紀は手を振って帰っていった。優衣は落ち着くために深呼吸をする。
これから入るのは自分が知らない世界だ。未知の世界に入っていくのはいつも緊張する。
でも世の中は自分の知らない世界で満ちていて、ちょっと回りを見渡すだけで、新しい世界が広がっていく。そのドアを一つ一つ開けていく事が人生の楽しみなんだ。
優衣は新しい出会いに期待しながら、勢い良くドアを開けた。同時に頭を下げて挨拶をする。
「どうも、芹沢優衣です。今日から生徒会の書記をやることになりました。よろしくお願いします」
返事は返ってこなかった。優衣はゆっくりと顔を上げる。
生徒会室は電気がついているのにも関わらず、薄暗くじめじめした雰囲気が漂っていた。
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