罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


 今年のインターハイは地元で開催されたため、会場はなじみのある体育館になってしまった。ちょっとした旅行をしたかった優衣としては不満な結果だった。

 

「まあ、どうせ来年も出るからいいんだけどね」

 

 畳から上がった優衣にクラスメイト達が駆け寄ってくる。

 

「すごいね〜優衣。本当に強いんだ」

「ね〜」

「今の所負けナシらしいよ?」

「かっこいい〜〜」

 優衣は屈伸して体を軽くほぐした。

「いやいや。まだまだだよ。本当に強いのは次の相手だから」

 そう。2回戦の相手は去年の全国大会チャンピオン。飯島ゆかりだ。優衣が待ち望んだ一戦がついに実現する。

 

 

「誰が相手でも勝てる勝てる」

「優衣なら楽勝だよ」

 友人たちはよほどテンションが上がっているのか、落ち着きがなくきゃっきゃとはしゃいでいる。

「……だといいけどね」

 

 優衣達が客席に移動していると、麻紀が両手にビニール袋を下げてやってきた。二つの大きなビニール袋にはたくさんの缶が入っている事が一目で分かる。まるでこんぺいとうだ。

「はあ……。なんで私がみんなの分のジュースを買ってこなくちゃいけないわけ?」

 麻紀は缶ジュースで埋まったビニール袋をその場に下ろし、地べたに座り込む。

「あ〜。疲れた。外、暑いよ〜。予報では今月までで一番の夏日になるって」

 麻紀はだるそうに体を反り返らした。優衣は笑いながら麻紀の肩を叩く。

「まあまあ、じゃんけんで負けたんだし、しょうがないじゃん。罰ゲーム罰ゲーム」

「罰ゲームね……」

 クラスメート達が次々とジュースを持っていき、ビニール袋には2本の缶が残った。麻紀はビニール袋から缶コーヒーを取り出して、優衣に投げ渡す。

「麻紀、お疲れ」

「優衣もね」

 

 


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