罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


 優衣はプルタブを起こし、缶コーヒーを喉に流し込んだ。べったりとした甘さが口の中に残る。

「運動後にコーヒーって美味しいの?」

「う〜ん。……微妙」

 麻紀が怪訝な顔をしてこっちを見ている。確かに運動後にコーヒーを飲む選手なんかいない。体育館の自販機だってスポーツドリンク重視のラインナップでほぼ統一されている。炭酸飲料や少ない缶コーヒーは観戦者用に用意されたものだろう。訳の分からない注文をしてしまった。

 

 コーヒーが好きになったのはあの事件が起こってからだった。

 緊張でカラカラに乾いた喉に流し込んだコーヒーは今までにないぐらい美味しくて、なんだか癖になってしまった。

 優衣はもう一口コーヒーを口にしてみる。そのまま麻紀の顔を眺めながら首を傾げた。

「試合後にコーヒーを飲む私って、大人?」

 

 麻紀はスプライトの栓を開けたまま、優衣の顔を凝視する。

「……優衣、最近なんかあった?」

 

 


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