罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


 久しぶりに見る彩の笑顔は見とれてしまうほど爽やかで、優衣はついつい気が緩んでしまう。

 イヤ、ダメだ。今回はそれで許してしまう訳にはいかない。優衣は彩をキッと睨んだ。

 

「彩ちゃん、何で最近……」

「ごめんね。ちょっと忙しくて」

 

優衣の言葉を遮るように、彩が口を挟んだ。

 

「生徒会の集まりでも……」

「集まりって言ってもまだ1回だけじゃない。あの時は考え事があったの」

 

「だったら会議……」

「会議中に話せる訳ないでしょ?」

 

「この間だって迎えに来るって……」

「え? 「行けなくなった」ってメール出しておいたけど?」

 

 優衣の言葉に次々とカウンターを繰り出す彩。優衣は再び震えだした。

 

 彩は優衣の顔を覗き込む。

「優衣?」

 優衣は涙ぐんだ顔を上げ、彩に抱きついた。

 

「うわああん。彩ちゃん!! 寂しかったよお!!!」

「よしよし。可愛いやつめ」

 

 彩はくすっと笑って優衣の頭を撫でる。優衣は彩の胸に顔をうずめたまま涙声で呟く。

 

「嫌われたのかと思ったよお」

「私が優衣の事、嫌いになるわけないでしょ」

 

 優衣の隣で麻紀は呆れ顔になった。

「て、いうか優衣って1ヶ月もケータイチェックしないワケ? 携帯の意味ないじゃん」

 彩もそれに合わせて頷く。

「そうだよ。持ち歩かない携帯なんて、なんの意味もないよ?」

 

「持ち歩いてるもん……。いつもカバンの中に入れてるから忘れちゃうだけで」

 

「どこ?」

 

麻紀が優衣のカバンを勝手に探り出す。小さなポケットの中にある携帯を見つけ、優衣に差し出した。

 

「ほら、チェックしてみな。大事な用件が入ってるかもよ?」

 

優衣はのそのそと麻紀のほうへ近づき、携帯を受け取った。

 

ディスプレイを開くと、画面は真っ黒だった。

 

「あ、電池切れてる……」

 

「はは。そりゃそうだね」

 

麻紀と彩は顔を見合せて笑った。

 

 


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