罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん


教室にいる男達を見ると、みんなの目はチラチラと彩を追っている。無理もない。彩の身長はモデル並みに高くて、顔だってテレビにでてもおかしくないほどキレイにバランスが取れている。修二先輩が学年で1・2を争う美形なら、彩は女の子の間でダントツの1位だろう。初めて彩を見た人は皆、その顔に、スタイルに、佇まいに釘付けになる。そんな光景を優衣は小さい頃から何度も見てきた。

「じゃあ、後でね。麻紀ちゃんもゴメンね? 食事中邪魔しちゃって」

「いえいえ」

 小さく手を上げ、彩は颯爽と教室を出て行った。教室の男連中は呼吸を忘れて見入っていたのか、感嘆のため息を漏らした。う〜ん。彩ちゃんは相変わらず爽やかだ。

「私も少しは女の子らしくしないとモテないよね」

 優衣の言葉を聞き、麻紀はニヤッと笑った。

「何? 優衣、モテたいの?」

「イヤ、別にそういうワケじゃないけど……」

「彩さんみたいになりたいんでしょ?」

「う〜ん。そうかも……」

「彩さんみたいな完璧な女の子なんてそういるもんじゃないからね」

 そういいながら、麻紀は大口を開けて笑った。

 たしかにちょっとうらやましい。彩も麻紀も肌は真っ白で、二人とも肩まで届く長い髪をしていてさらさらと指どおりがいい。一方自分はと言えば、肌はすっかり日に焼けて、髪の毛は万年ショートカットだ。女の子らしい髪型は活動的な自分にはきっと似合わないだろうな。そう思いながら、優衣は自分の首筋まで伸びる髪の毛を指でいじってみる。いつもならそろそろ切る長さだ。

優衣は彩が出て行ったドアを眺める。

「でも、彩さんってどこか陰があるんだよね」

 麻紀が呟く。優衣は麻紀を横目でチラッと見た。

 麻紀も優衣と同じく、教室のドアを見ていた。

「陰?」

 優衣が訪ねると、麻紀は「なんとなくそう思っただけだよ」と笑った。

 麻紀は人を観察するのが得意で、麻紀の意見はいつも的を射ている。優衣は彩がどういう人間なのか、麻紀にはどう見えているのかが気になった。

 

 


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