罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


「……実、何してるの?」

 

 実は黙ってコップを拭いていた。優衣の質問には代わりに誠が答える。

 

「ここ、コイツの店だよ」

 

「あ、ああ。なるほどね」

 

 制服でも大丈夫なわけだ。優衣が頷くと、誠は更に続ける。

 

「将来コイツは焼き鳥屋の店長ってワケだ」

 

「へえ、いいなあ」

 

 和也がニヤッと笑って優衣を見る。

 

「つまり、俺が神になる日も近い」

 

「いやいや、それは意味わかんない」

 

 酔った和也は面倒くさいな。と、優衣が思っていると、実が口を開いた。

「いや、俺この店継がねえよ」

 

 メンバーが一斉に実を見る。

 

「もったいねえ」

 

「継げよ。そしたら俺らもここで飲めるじゃん」

 

「いや、俺の代になったらこの店は潰す。そして……、チョコボール屋を開くんだ。世界初のな」

 

 実のキラキラした目とは対照的に、メンバーは苦笑いを浮かべた。

 

「……へえ」

 

「……頑張ってください」

 

「おう、俺はやるよ。ここを最高の店にしてみせる」

 

 和也も少し苦笑いをしている。どうやら少し酔いがさめたらしい。

 

「きっとうまくいくよ。な、なあ優衣」

 

 和也から急にパスを出されたので、優衣は腕を組んで考えた。

 

「う〜ん。チョコボール以外にどんな物を置くかによるね」

 

「ば、バカ」

 

 周りのメンバー達が気まずそうな顔を浮かべる。優衣がハッとして実を見たときにはすでに遅かった。

 

「チョコボール以外の……物?」

 

 実は天井を見ながら顔中にしわを寄せてプルプルと震えている。

 

 

「そんなもの、置くわけねえだろ!!!!!!!!!!!!」

 

 実の本気で怒った顔を見て、優衣は「この店、潰れるな」と思った。

 


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