罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


 

 「優衣、とりあえずなんか食えよ」

 

 修二が空き瓶を片付けながら注文を促す。

 

「う〜ん、じゃあ、モモ!! もも肉頂戴」

 

 優衣がそう叫ぶと、和也が吹き出した。

 

「はあ? ももにく!? カワイ子ぶんなよ!」

 

「うるさいなあ。好きなんだからいいじゃん」

 

「優衣はももにく派だもんね」

 

 彩が優しく微笑む。和也は優衣の目の前に山ほどの砂肝を置いた。

 

「はい。砂肝一丁!!」

 

「いらない。どけて」

 

 優衣が冷めた顔で砂肝の皿を横にのけると、和也が強引に口の中に押し込んできた。

 

「いいから食え! うまいから!!」

 

「やだあ〜〜!!」

 

 和也は優衣の顎をつかみ、強引に口を閉じようとする。

 

「痛い! 痛い!」

 

「噛め! ほら噛め!!」

 

 

「分かったよ! 食べるから!」

 

「ちゃんと噛めよ。食感がいいんだからよ」

 

 優衣が砂肝をほおばると、奥歯から耳にシャリシャリした食感が広がった。

 

「うまいべ?」

 

「……確かにうまい」

 

「モモなんてガキの食うもんだよ。大人なら砂肝。これ常識。テストに出る」

 

「早くモモ肉ちょうだ〜い」

 

「……聞けって。マジで」


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