罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
「エロ辻斬りだぞ〜!」
自らをエロ辻斬りと名乗るトラ男の勢いはとどまる事を知らない。
優衣はあきれ果てた。
「高校生にもなって、こんなくだらないことやってるなんて……。バカみたい」
「あの人、めちゃめちゃ楽しそうだね」
麻紀はすっかり顔を緩ませている。さっきまでの真剣な表情がウソのようだ。
「でもこれはさすがに調子乗りすぎでしょ。ちょっと止めてくるわ」
「マジ? やりすぎないようにね」
優衣はゆっくりとトラ男の目の前に立った。腕をまわしながら腰を軽くひねる。
トラ男はすぐに優衣に気がつき、前傾姿勢をとる。その姿はいかにも「我こそは百獣の王だ」と言いたげだ。
「おい、邪魔する気か?」
トラ男は急に真剣な声でそう言った。優衣は両手を顔の高さまであげ、半身の体勢になる。
「はあ、まあ一応そのつもりです」
「その子、見た目は小さいですけど、空手初段ですよ〜。怪我に気をつけてくださいね〜」
横から麻紀の注釈が入り、トラ男は一瞬怯む。
「……まあ、所詮女だろ?」
「はい。所詮関東大会優勝です。来月全国大会出るんで、応援ヨロシクお願いします」
トラ男の顔が引き締まる。二人の間に緊迫した空気が流れた。
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