罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
腰を少し落とす。相手の呼吸を感じ取る。肩、足、腰のリズムを読む。うん。ばっちり。
優衣は左手を前に突き出した。一撃でしとめる。相手に痛みすら残さない。それが敗者に対する唯一の情け。優衣のこだわり。
「勝負……!!」
しかし、トラ男は構えを解き、俯きながら一歩下がった。
「いや、やっぱ俺にはできねえよ。女の子を殴るなんて卑劣な事……」
そう言いながらトラ男は優衣に背を向ける。
「逃げるんですか?」
「はい、そういうことです」
トラ男は手を振りながら走り出した。
「じゃあ、みなさん。今日はこの辺で。罰ゲームクラブをヨロシク」
優衣は油断しているトラ男の背中にドロップキックを入れた。麻紀が口元を押さえる。
「ヒドっ!!」
トラ男は無様に地面に転がる。優衣は倒れるトラ男の目の前に立った。
「油断大敵!!」
トラ男は背中を押さえてプルプルと震えている。どうやらかなりの痛みを与えてしまったらしい。まあ、たまにはこういうこともあるよ。どんまいどんまい。
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