罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム ケイドロとお姫様
菊田本町の大通りを抜け、タクシーは駅前の薬屋の前で停車した。
桜町から2駅というわずかな距離だが、特に何があるわけでもないその土地は足を運ぶ機会もなく、優衣にとってあまりなじみがなかった。
深夜になるとどこの店もしまっていて、車の通りも少ない。町は無風に近かった。
優衣はタクシーから降りると大きく伸びをした。
「なんか、もっと遊園地みたいなイベントを想像してたんだけど、寂しい町だね」
「まあね。でも、あまり賑やかじゃないほうがゲームはやりやすいんだよ?」
「うう、吐きそう……」
優衣と彩の後ろでは麻紀がフラフラと揺れながらバランスを取っている。
「酔っ払い……」
「ほら、麻紀ちゃん、小夜子ちゃんの家はすぐそこだよ」
彩が優しく手を引っ張る。麻紀は「小夜子って何ですか〜?」と力なく呟いている。多分、明日になったら何もかも忘れているだろう。
二人で麻紀を引っ張りながら大通りを抜けると、住宅街が広がった。
中心には一際大きな建物がある。優衣にはそれがすぐに小夜子の家だと分かった。
「駅から近いね」
「素晴らしい立地条件ってヤツ?」
家の外側は大きな塀で囲まれていて、そこから更に数段高い建物が顔を覗かせている。
分厚そうなコンクリートは金持ちだという事を存分にアピールし、見るだけで気後れする。
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