罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


 家の前に立つと、豪華さはますます広がった。一般家庭よりも一回りぐらい長い柵が広がり、そこからプールが見える。犬の置物が左右に置かれ、壁は大理石でできている。

 

 きょろきょろと目を動かすと、インターホンが目に付いた。優衣が気づくと同時に彩はなんのためらいもなくブザーを押す。

 

「さーて、できるかな……」

 

 彩の顔を見ると、目を閉じて大きく深呼吸していた。緊張しているのか、ノドをさすりながら「ん、ん」と自分の声色を確かめている。

 

 反応がないまま時間が過ぎていく。深夜だけあってそうすぐに返事はこないだろうとは思っていたが、初めて来た家の前で長い時間待つのはなんだか不思議な緊張感がある。とりあえず、家の人は自分達にいい印象は持たないだろう。自分の立場で考えたら相当非常識な人間、ウザい人として映るだろう。

 

 重たそうな扉が不意に開く。中から屈強そうな男が3人出てきた。

 3人とももれなくガタイがいい。恐らくボディーガードとかそんな類だろう。

 

「どちらさまですか?」

 

 インターホンから返事がくると思っていた優衣は思わずたじろいだ。隣を見ると、彩は普段の喋り方よりも半音上げた声室で喋りだす。

 

「えっと〜、私達、小夜子の友達なんですけど〜、あの子最近付き合い悪いから遊びに誘いに来ちゃいました」

 

「そうですか。ずいぶん遅い時間を選びましたね」

 

 中心の男が落ち着いた声で返事を返す。

 もっともだ。と優衣は思ったが、彩の演じるトロくさい女の子は、夜中に誘いに来そうな変な説得力を持っていた。

 

「はい〜。なんかこの間、携帯に誘いのメールしたんですよ〜。そしたらあの子、絶対に行くって言ってたのに来ないから、風邪でも引いたかな? って思って。小夜子風邪引きました〜?」

 

 男の表情から苛立ちは感じられない。と、いうよりも、感情があまり読み取れないような顔をしている。それに対し右端の男は挑発的で、彩の言葉を聞くとフンと鼻を鳴らした。

 

「お前、何が目的だ? 金でもせびりに来たのか?」

 

「え〜? 普通に小夜子が心配なだけですけど」

 

 彩がそういうと左の男も口を挟んでくる。

 

「お前の言ってる事はありえないんだよ」

 

「なんでですか〜?」

 

「なんでもだ! とっとと帰れ! クソ女共」

 


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