罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


「え〜、気になる〜〜。ありえないって何が〜〜?」

 

 彩がオーバーアクションをしていると、真ん中の男がゆっくりと前に出てきた。

 

 

「とりあえず、今日はもう遅いのでお引取り願えますか?」

 

 低く、静かで、落ち着いた声。

 優衣はその男の佇まいから特別な空気を感じた。

 ゆったりしていてしなやかな動き。落ち着いているけど、仁や和也とも違う。

 歩き方一つ見てもムダがないような立ち振る舞いだった。

 

 多分、この男は何か武道をやっている。しかもかなりの腕だ。

 

 優衣がそんな事を考えていると、彩がポツリと呟いた。

 

「おかしいな〜。ちゃんと携帯に連絡したのにな〜〜」

 

「しつけえな! ウソつくんじゃねえよ!! さっさと帰れ!!」

 

 右側の男が怒鳴る。それを見て彩の目つきが変わった。

 

「何でウソだって分かるの?」

 

 そのまま右側の男の前に一歩踏み出す。

 

「あ!?」

 

「ねえ? 何で?」

 

 彩の口調はトロい女からいつもの調子に戻っていた。そのまま透き通るような瞳で男を追い詰める。

 

「う、うるせえよ。何でもだ」

 

 男が言いよどんでいると、彩が続けて口を開いた。

 


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