罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


「当ててあげようか。『連絡できるわけがない。だって携帯は取り上げてるんだから』そんなところでしょ?」

 

 男は口をつぐんだ。彩は更に続ける。

 

「『おまけに部屋にこもらせてるし、外出は許してない。遊びに行くとかもってのほかだ』ってね。ひどい家だよね」

 

 彩の言葉で引きつる男の顔を見て、優衣はハッと気づいた。小夜子は監禁されている。少なくとも自由は与えられていない。

 

「……おめえ、何モンだ?」

 

「え〜? ひょっとして当たっちゃいました〜? 嬉しい〜〜」

 

「ふざけるんじゃねえ! テメエは誰だって聞いてるんだよ!!」

 

「小夜子の友達ですよ」

 

 横から優衣が口を挟む。優衣はそのまま真ん中の男の前に立った。

 

「あなたの名前、聞いてもいいですか?」

 

「私ですか? 久留間喜一と申します。お嬢さん」

 

「喜一ですか。いい名前ですね」

 

 優衣はニコッと笑って喜一に背を向けた。彩も麻紀を連れて歩き出す。

 

「また来ます」

 

 優衣の背中に向かって喜一が話しかける。

 

「よろしければ小夜子様に何かお伝えしておきますが?」

 

「そうですね。じゃあ……」

 

 優衣は顔だけ振り返って、肩越しに喜一を見た。

 

「『クリームが待ってる』って伝えておいてください」

 

 そう言って優衣達は夜の闇に消えて行った。

 

 

「なんなんだ……。あいつらは」

 

 右の男が呟くと、喜一は正面を見たまま強く言い放った。

 

「関係ない。私たちの使命は小夜子様を守る。それだけだ」

 

「相手が誰であろうとな」と、小さくつけたし、喜一は屋敷の中へ戻って行った。


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