罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
麻紀は優衣の後姿を眺めながら呟く。
「それにしても、緊張とかないんですかね? あの子には」
「ホントね。さっきまであんなに泣いてたのに……。おかしな子だよね」
彩がくすくすと笑う。麻紀は彩の顔をじっと眺めた。
「不思議と言ったら彩さんもそうですよ」
「ん? 何で?」
「ん〜、これ言っちゃっていいのかな〜。結構失礼になっちゃうと思うんですけど」
彩がゆっくりと身を乗り出す。
「いいよ。言ってみて」
「彩さんっていい人すぎるじゃないですか。なんだか胡散臭いなって思って」
「あははは。そうだね。胡散臭いよね」
「あたしが今まであってきた中で、そういう人って必ず裏があったから……。特に彩さんって独特の雰囲気を持っているっていうか、自信に満ちているっていうか」
「ん〜」
彩は顎に手を当てて天井を見上げた。麻紀は彩を指差し、更に続ける。
「ズバリ! 彩さんは昔、相当な悪だと見た!!」
「あはははは! ズバリって……。古いよ!!」
「それに、彩さんってたまにすごく寂しそうな顔してるし、過去になんかあったのかなって」
彩の笑い声が止まった。驚いた表情で麻紀を観察している。
「ふ〜ん。よく見てるね」
「美人だからつい見ちゃうんです」
「あはは」
彩は麻紀を見ながら口元を緩ませた。
「そうだね。私がいい人じゃないってことは確かだよ」
「へえ、どんな悪い事してたんですか?」
「ヒトゴロシ」
彩は屈託のない笑みで言い放った。麻紀は思わず体を引く。
彩は麻紀のおでこを指ではじいた。
「なんてね。とりあえずは秘密にしておこうかな」
「は、はい」
「そろそろ優衣の試合が始まるよ」
麻紀は固まったまま試合場を見下ろす。聞かないほうがよかったのかも。
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