罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


 優衣は会場へつながる長い廊下をゆっくりと歩いている。

 

 大きく深呼吸して辺りを見渡すと、自分よりも大きな選手達が入念にストレッチをしている。

 

 優衣は顔を落として自分の体を見つめてみる。軽量級の中でも、全国クラスの人間と比べると自分の体は小柄なほうだ。

 

 だからこそ楽しい。自分の体が小さいからこそ、相手を倒した時の賞賛は大きく、自分の成し遂げた事の大きさを感じられる。

 そして、これから立ち会うのは全国の頂点だ。自分の積み上げてきたものを好きなだけぶつけた時に、飯島ゆかりは立っていられるだろうか。

 

 優衣の体に体武者震いが来た。軽く腰をひねってみる。

 小さい体をムチのようにしならせて繰り出した蹴りは空気を切り裂く音がした。

 

「よし。行こう」

 優衣が歩き出そうとした瞬間、電話のコール音が鳴り響いた。


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