罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


「ん?」

 優衣が振り返ってみると、会場に設置されているむきだしの公衆電話が鳴っている。近くに人は誰もいなく、皆が優衣の方を見ている。

「え? あたし?」

 

 

 優衣は電話をしばらく眺めた後、恐る恐る手にとってみた。

「もしもし……」

 

「優衣か?」

 低く、透き通った聞き覚えのある声。これは……。

 

「ひょっとして、仁?」

「……お前携帯持ち歩けよ。めんどくせえ」

 優衣は驚愕した。本当に仁だった。何なのコイツ。透視能力でも持ってんの!?

 

「な、なんか用?」

「ああ。今日久しぶりに部活あるからな。今すぐ学校に来い」

 

 優衣は目を大きく見開いた。

「はあ? 今日大会なんだけど」

「知ってるよ。これから飯島ゆかりとやるんだろ?」

 優衣は自分の体をキョロキョロと見回す。もしかして本当に発信機や盗聴器が仕掛けられているんじゃないだろうか?

「うん。だから今日は休む」

 

「休んだら殺す」

「なんでよ!? こっちは全国大会なんだよ? 普通の部活と一緒にしないで」

「負けろ。負けて今すぐ来い」

 一向に耳を貸そうとしない仁の態度に、優衣はため息をついた。

「一日だけだから。お願い、仁」

 

「特別扱いはなし。部員は罰ゲーム倶楽部の活動が最優先だ」

「分かったよ!! すぐ行きます!!」

 優衣は乱暴に電話を切った。周りの選手達はまだ優衣の事を見ている。

「何見てんの? すりつぶすよ?」

 選手達が慌てて視線をそらす。優衣は半泣きで試合場に向かった。

 

 バカゲームクラブ、と呟きながら。

 


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