罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
〜ドロップス〜
試合場では男子の重量級の試合が行われていた。体中が筋肉で出来ているような男たちの打撃は重量感があって迫力満点だ。
その中でも、特に優衣の目を引いたのは会場の一番端でやっている柏木和人の試合だった。
「和人君……」
優衣は小さく呟く。
優衣は去年、和人の試合を見て以来すっかりファンになってしまった。長い足から繰り出される変幻自在の多彩な足技はまるで生きる芸術品のように美しかったのを覚えている。人の技を美しいと思ったのは初めてだった。和人は文句なく今年の優勝候補だ。
重量級の試合が終わった。和人は順調に勝ち進んでいる。
優衣の名前がコールされた。2回戦が始まる。
優衣は大きくため息をついた。なんでこんな事になったんだろう。あたしだって絶対に優勝候補だったはずなのに……。
優衣が会場を眺めてみると、麻紀と彩が大声で声援を送っている。
ごめんね二人とも。あたし、負けちゃうんだ。
向かいにはいつの間にか飯島ゆかりが立っている。二人で並んで四方に礼をしていく。
開始線に立つ。足に伝わる畳の感触。ここに立ったら負けた事なんてなかったのに……。今までの無敗伝説が、終わる。
「あ〜、もう!! どうでもいいよ!!!」
優衣は大声で叫んだ。ゆかりがビクッとして優衣の顔を見ている。
もうどうでもいい。どうせあたしは負けるんだ。だけど、タダじゃやられない。やられっぱなしはごめんだ。
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