罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
優衣は試合開始と同時にゆかりに向かって走り出す。ゆかりは突然の事に驚き、反応が遅れた。
「りゃあ!!」
優衣は前方に大きく飛び上がった。両足を揃えたドロップキックはゆかりの腹にめり込み、ゆかりはうめき声を上げて倒れた。
足元に崩れ去るゆかりを見下ろし、優衣は鼻を鳴らした。
「油断大敵!!」
会場がざわつく。小さいざわつきはだんだんと広がり、やがて会場中を包んだ。
「は、は、は、反則負けーーー!!」
審判が驚いた顔をしたまま大声で叫ぶ。優衣は小さく舌を出しておどけて見せた。
「まあ、試合に負けて勝負に勝ったってやつですね」
「ふざけるな!! 少しは反省しろ!!」
優衣は辺りを見渡した。会場中の視線がこっちに向いているのが分かる。
ああ、本当におわっちゃったんだ。
さようなら。私の全国大会……。
遠くでは和人が腹を抱えて笑っている。
そして、さようなら。私の初恋……。
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