罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
優衣の隣に麻紀がちょこんと座り、せわしなく辺りを見渡している。優衣は麻紀に耳打ちしてみた。
「知ってる人、いる?」
麻紀も優衣の耳元に顔を近づける。
「いる。ていうか有名人だらけ」
「……マジ?」
「しかも、ヤバい方面で」
優衣は改めて回りを見回してみる。どいつもこいつも緊張感のないツラばっかり。ケンカしても普通に勝てそうだけどな。
「そこの可愛い君」
優衣と麻紀が同時に振り返る。
振り返った先ではソフトモヒカンの男、神谷誠が頬杖をついて麻紀を見ていた。
「優衣、何振り返ってんだよ!! 自分の事、可愛いと思ってんのか?」
すかさず和也が笑いながらツッコんでくる。優衣は真っ赤になった。
「うるさいバカ和也!! 死ね」
「お〜、ありえねえ。怒った顔がマジ可愛い」
セリフとは裏腹に明らかにバカにした口調だ。優衣は和也を無視して誠を見た。
誠はじっと麻紀の顔を眺めている。なんだろう。まさか麻紀に一目ぼれとか?
「で、君はウチのクラブに入んの?」
「……できれば入りたいです」
「ふ〜ん」
それだけを聞くと誠は麻紀から目を離し、興味を失ったように手元のトランプをいじくりだした。なんなんだ今のは。
「よし、そろそろ始めるぞ」
奥のテーブルで仁が言った。隣ではさっきまで仁と話していた彩が真剣な表情で考え事をしている。
「まず始めに、優衣」
仁は優衣に一枚の手紙を投げ渡した。
「……何これ?」
「音読しろ」
「なんで私が……」
「黙って大会に出た罰だ。いいから読め」
優衣は仏頂面をしながら手紙を読み始めた。
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