罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
「え?」
夏に締め切った部屋とは思えないほどの室内温度。これってまさか……。
「……クーラー?」
優衣が部室を見渡すと、奥の壁にエアコンが取り付けてあった。
「遅えぞ。バカ優衣」
和也がテーブルに肘をつきながらぼやく。手元には山のようにトランプが置かれている。
「あ、ゴメン……。て、いうか部費でエアコン買ったでしょ!! ふざけないでよ!!!」
優衣は仁に向かって大声でどなった。仁は両耳を指で塞いだ。
「うるせえな。俺の手元に来たものはみんな俺の金だ。文句があるなら力ずくで奪ってみろ」
「俺の金とか子供みたいな事言うな! 部費は部のために使うものなの!!」
仁は急に真剣な顔になり、テーブルに両肘をついて部員全員の顔を見渡した。
「……今年の部費はエアコンの購入に使う。異存があるヤツは?」
全員が笑顔で頷く。
「いませーん」
仁はニヤッと笑って優衣を見た。
「いないってよ」
「マジムカつく〜〜!!」
地面を踏みつける優衣の後ろから、彩と麻紀が部室に入ってきた。
「涼しい〜。罰ゲーム倶楽部って本当になんでもありだね」
優衣は大きくため息をついた。麻紀は普段は冷静なくせに、変わったものを見ると目の色を変える。その無邪気さが今はうっとおしい。
俯く優衣の隣を彩が通り過ぎていく。そのまま彩はテーブルの奥に座った。
「……相変わらずバカやってるね。仁」
「彩……。久しぶりだな。入部しに来たのか?」
「今日は様子見。優衣が無理矢理入部させられたみたいだから」
彩は目を細めて仁を睨む。仁は口元を緩ませたまま彩の目を見つめている。
優衣と麻紀は彩と仁を交互に見ている。手前に座っている啓介が椅子を引いて二人に差し出した。
「突っ立ってないで座れよ」
「ありがと」
麻紀が礼を言うと、啓介は興味無さそうに椅子に深く腰掛けた。
「礼なんかいらねえよ。突っ立ったままでいられる目障りだからな」
「一言多いんだよ。啓介は!!」
ガタンと乱暴に音を立てながら優衣は椅子に座った。奥では仁と彩が小声で話してる。耳を澄ましてみるが、声は聞こえなかった。
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