罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
「手紙で失礼します。桜高校2年4組の高橋幸則です。僕の趣味は6歳になったばかりの妹と一緒に近所を散歩をすることです。実は今回手紙を差し上げたのは、妹の『百合』の事で皆さんに相談に乗って欲しいからです。
三日ほど前のこと、僕と百合が近所の『桜公園』を散歩していると、百合が砂場で遊びたいと言い出しました。
僕は百合のワガママはできるだけ聞いてあげる優しいお兄ちゃんなので、もちろん百合を砂場に連れて行ってあげました。
百合が泥だらけになりながら、一生懸命砂のお城を作っている姿はとても可愛かったです。
僕はフィルムが続く限り、百合の姿をカメラに収め続けました。
あ、これは変な意味にとらないでくださいね。僕は純粋に百合の事が大好きなだけですから。ついでに言っておくと百合も僕の事が大好きです。何故なら百合の部屋にある『宝物入れ』の一番大事な場所には僕の写真が入っているからです。
すみません。話を戻します。
夕方まで写真を撮り続け、僕の一眼レフのフィルムの残りが一枚になった時、事件は起こりました。
百合が必死に作った砂のお城になんと玩具の飛行機が飛び込んできたのです。
飛行機が飛んできた方向を見ると、百合と同い年くらいの少年が慌ててこっちに走ってきていました。見るからに最低のクソガキです。
百合は自分のお城が壊された事で大泣きしました。クソガキはしばらくの間、呆然と百合の事を眺めていたのですが、やがてお城に刺さった飛行機を取り外し、百合に差し出してどこかへ消えていきました。
百合はしばらくそのクソガキの後ろ姿をぼ〜っと眺めていました。
それからというもの、百合の様子がおかしいのです。
僕との散歩を断り、桜公園であのクソガキと一緒に遊ぶようになりました。
朝昼晩、僕ら家族と会話するとき、百合は必ずあのクソガキの事を話しやがります。
そして今現在、百合の部屋の宝物入れの一番大事な場所には、僕の写真ではなく、あのクソ飛行機が置いてあります。
ひょっとしてこれは恋じゃないでしょうか? どう考えても百合にはまだ早すぎます。百合が誰かと付き合うなんて考えられない。だって、百合の面倒は一生僕が見るのですから。僕と百合はそういう運命で結ばれているのですから。
と、言うわけで百合とあのクソガキの仲を引き裂いてはくれないでしょうか?
どうぞよろしくお願いします」
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