罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


『だるまさんが』

 

 コールが始まると共に、優衣は素早く和也の方に向き直った。

 

「感謝しろよ。助けてやったんだから」

 

「別に頼んでないし。止められなければあたしが勝ってたよ」

 

「はは。プライドだけはいっちょまえだな」

 

 

『こ〜ろ〜ん〜だ』

 

 優衣のそばにはすでに誠、修二、実の三人が並んでいた。

 

 和也との勝負が長引くと罰ゲームを受ける羽目になる。早めに勝負を決めなきゃ。

 

 和也は優衣の考えを読んだかのように軽い口調で喋りだす。

 

 

「ま、俺も罰ゲームはごめんだし、次で決めっから」

 

「こっちのセリフだよ」

 

 優衣は和也を改めて観察した。

 

 和也はポケットに手を突っ込んだままダルそうに立っている。座ってる時のイメージと違ってだいぶ身長は高く、手足はすらりと長い。

 明らかにおかしいのはワイシャツの上にブレザーという夏らしくない格好。多分、何か武器を隠し持っている。

 

 余裕そうな表情とそのだらしない体勢を見て、優衣は小さく舌打ちをした。完全に格下扱いされている。

 

「優衣。お前ちびっこいし、ハンデやろうか?」

 

「うるさい」

 

 優衣は小さく息を吐いた。すぐに熱くなるのは自分の悪い癖だ。和也は明らかにわざと挑発してきている。勝負は冷静になれないほうが圧倒的に不利になるのをよく分かってるんだ。

 

 油断するなら勝手にすればいい。一瞬で決めてやる。

 

 

 

 

『だるまさんがころんだ!!』

 

 

 短いコール音。

 

 

 

 一瞬とも取れるような短い時間で、二人の決着はついた。


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