罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


優衣の蹴りはまともに和也の腹に入った。

 

 

 

 

 

 ……だけど、

 

 

 和也は平然としたまま優衣の肩を掴んでいる。

 

 優衣は蹴った足に走る衝撃に驚き、片目をつぶった。自分の蹴りをまともに食らって倒れなかった人は今までいなかったのに……。

 

「おお。すげえ蹴りだな」

 

 優衣の足に激痛が走る。何故、和也が平然としているのか、答えはもう分かっていた。

 

「……和也、お腹に鉄板入れてるでしょ」

 

「当たり。ケンカには腹筋なんていらねえんだよ。鉄板とこいつがあれば充分」

 

 和也の右手はがっちりと優衣の肩を掴み、左手にはおもちゃのような物を持っている。

 

「ま、それでも充分痛かったけどな。ナイスキック」

 

 コール音が終わる瞬間に、和也は優衣の腹にそのオモチャを押し当てた。

 

「これで俺の勝ち」

 

「……何?」

 

優衣の問いかけに和也が半笑いで答える。

 

「俺、スタンガンマニアなの。自分で改造とかもできるんだぜ? すげーだろ」

 

「スタンガン?」

 

「ボタンを押すだけなら、監視カメラにも見つかりっこないべ?」

 

 くそ、油断してたのは自分だった。優衣は心の中で呟いた。和也はわざと隙を見せて、誘っていたんだ。鉄板だって、よく観察していれば不自然なお腹の盛り上がりを見抜けたはずなのに……。

 

「初回限定サービスで、1000ボルトのやつを選んでやったから、さすがに気絶はしないだろ。とりあえず、歯ぁ食いしばっとけ」

 

 優衣は言われたとおりに歯を食いしばった。絶対に耐える。どうしてももう一発ぶち込まないと気がすまない。

 

 

 

 

「じゃあな罰ゲーム頑張れよ」

 

 

 和也がそう言った瞬間、優衣の腹に衝撃が走った。


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