罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


 

「私達の青春ってこれでいいワケ?」

 

 第一校舎を抜けたところで優衣がそう呟くと麻紀は笑った。

 

「いいんじゃない? 面白いじゃん」

 

「う〜〜ん。でもさあ、せっかくの夏なんだし……」

 

「燃え上がる恋をしたいわけね?」

 

「そうそう、さすが麻紀。分かってるね!!」

 

「……そりゃ毎年言われたらね」

 

「今年はね、燃えるような恋をするんだ」

 

「優衣のあこがれって、空手の桜井和人君だっけ?」

 

 麻紀がそう尋ねると、優衣は遠い目をした。

 

「あれはね、もう終わった恋」

 

「え、何で?」

 

「だってもう無理だよ! ドロップキック見られたもん! ドロップキックなんて、親にも見せた事ないのに……」

 

「……なんかイヤらしい言い方だね」

 

「とにかく! 私は新しい恋を探す。色気のない青春なんてゴメンだからね」

 

「それは同感」

 

 麻紀が腕を組んで大きく頷いた。

 

「で、優衣は好きな人いるの?」

 

「え? さ、さあ」

 

 優衣は頭の中に浮かんだ顔を慌てて振り払った。


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