罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


「詳しい話は明日だ」

 

 仁はそういい残し、部室を出て行った。ゲームまであと五日だというのに、こんなにのんびりした段取りでいいのだろうか?

 

 不安を感じながら部室から出てきた優衣は、真っ暗になった校舎にうっすらと浮かび上がる人影を見つけた。

 

「……裕子?」

 

 首を傾げながら訪ねてみる。ボーっとした非常灯の明かりの元に、裕子は俯きながら立っていた。

 

「裕子、どうしたの?」

 

「ちょっとね、人を待ってたの」

 

 なるほど。優衣は頷いた。

 

「修二と一緒に帰ろうってワケね?」

 

「……なんで呼び捨てなの?」

 裕子は優衣をきつく睨んだ。優衣は慌てて口を押さえる。

 

 

「私が待ってたのはね、優衣だよ」

 

「あ、あたし? 何で?」

 

 裕子の言い知れぬ迫力に、優衣は動揺した。裕子の長い髪にうっすらと落ちる影が、恐ろしさに拍車をかける。

 

 こんな雰囲気が得意な人がいるとは思えないが、例にもれず優衣にとってもそれは苦手な雰囲気だった。


105ページ

次へ   前へ    目次へ    TOPへ