罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


「私、この間ね、修ちゃんとデートしたの」

 

「よかったじゃん!」

 

 重たい空気を吹き飛ばすために、優衣は大袈裟に大声をだした。

 

「どんな話をしたと思う?」

 

「え? さ、さあ……」

 

「それって、とぼけてるつもり?」

 

「イヤイヤイヤ。本当に分かんない」

 裕子がきつく睨んでくるので、優衣は慌てて両手と首を横に振った。

 

「修ちゃんね、優衣の事ばっかり話してたよ。楽しそうにね」

 

 修二め。余計な事を……。優衣は拳を握り締めた。

 

 修二の爽やかな笑顔が、今はただひたすら憎い。

 

「あたしは修……、中川先輩とはなんにもないよ」

 

「遠慮しないで修二って呼んだら? どうせ私がいない所では修二って呼んでるんでしょ?」

 

「……うん」

 

 優衣は背中を汗が下っていくのを感じた。

 

 イヤだな。この空気、本当にイヤだ。

 

 ……修二め!!

 

 と、まあここで怒っていても何も変わらない。まずはフレンドリーな空気に変えようと優衣は口を開いた。

 

「……そういえばさ、裕子変わったよね」

 

「修ちゃんの為にね。あたしは根暗でブスだから、彼に釣り合うように努力していくの」

 

「うん。いい心がけだ」

 

「バカにしないでよ!!」

 

 裕子が大声で叫び、優衣は慌てて半身になって構える。

 

 麻紀の真似をしたつもりだったが、どうやらそれは裏目にでたらしい。

 


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