罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


「ご、ごめんなさい」

 

 今までに感じたことのないプレッシャーを味わい、優衣は思わず謝っていた。

 

「あたしが彼に好かれる為に、どれだけ努力しているか、分からないでしょ?」

 

「え? 分かるよ?」

 

「え?」

 

 

 裕子がずるっと前のめりになる。優衣は白い歯を出して笑った。

 

 

 

「だって裕子、可愛くなったもん」

 

 

「はあ? うるさいよ」

 

 

 裕子は床に置いてあるカバンを拾い上げ、顔を背けた。

 

 

「へへ。照れてる?」

 

 

「いちいち突っ込まないでよ! アンタのそういう所、マジでムカつく」

 

 

「うん」

 

 

「うんって、何納得してんのよ……」

 

 

 裕子は呆れたのか、ため息をつき、優衣に背を向けた。

 

 

「あたし、優衣には絶対に負けないから……」

 

 

「……はい。そうすね……」

 

「ムカつく〜〜! 絶対に負けない!!」

 

優衣は自分なりに下手に出たつもりだったが、それはどうやら逆効果だったらしい。

 

 

 捨て台詞を吐いて走り去る裕子を、優衣はただ呆然と眺めていた。

 


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