罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム ケイドロとお姫様
「ご、ごめんなさい」
今までに感じたことのないプレッシャーを味わい、優衣は思わず謝っていた。
「あたしが彼に好かれる為に、どれだけ努力しているか、分からないでしょ?」
「え? 分かるよ?」
「え?」
裕子がずるっと前のめりになる。優衣は白い歯を出して笑った。
「だって裕子、可愛くなったもん」
「はあ? うるさいよ」
裕子は床に置いてあるカバンを拾い上げ、顔を背けた。
「へへ。照れてる?」
「いちいち突っ込まないでよ! アンタのそういう所、マジでムカつく」
「うん」
「うんって、何納得してんのよ……」
裕子は呆れたのか、ため息をつき、優衣に背を向けた。
「あたし、優衣には絶対に負けないから……」
「……はい。そうすね……」
「ムカつく〜〜! 絶対に負けない!!」
優衣は自分なりに下手に出たつもりだったが、それはどうやら逆効果だったらしい。
捨て台詞を吐いて走り去る裕子を、優衣はただ呆然と眺めていた。
107ページ