罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム ケイドロとお姫様
「ねえ、今日って暇?」
夏休み初日。携帯の着信音で起きた圭は、突然の小夜子の声で完全に目を覚ました。
「あ?」
低い声で返事をする。不機嫌だと思われてしまうかもしれない。と圭の頭に一瞬浮かんだが、思われたら思われたで別に構わないと思い直す。
「だからー、暇なの?」
「暇だったらなに?」
電話口から小夜子が息継ぎをする音が聞こえる。
「今から一時間後。10時に駅前」
早口の伝言を残して電話は切れた。
「……なんなんだよ。めんどくさい」
迷惑な女だ。
圭は文句を言いながらタンスの引き出しからTシャツを取り出した。
カーテンを開けると、窓からうっとおしいぐらいの光が差し込んでくる。
仲良く寄り添うスズメのカップルがやけに目に付いた。
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