罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


――10月――。

 

 草木の色が変わり始めた頃、

 

 圭は青葉高校の近くにある小さなカフェでバイトを始めた。

 

 休日の昼間の客足は多すぎる事もなく少なすぎる事もなく、ほどほど。

 吹き抜けの天井、こじゃれた螺旋階段、晴れた日に大きな窓ガラスから見える紅葉が好きだった。

 

「藤堂君、ちょっと出かけてくるからレジ頼むよ」

 

「はい」

 

 休日は昼間からバイト。平日も大抵18時から21時まで入れてある。

 

 メニューと作り方さえ覚えてしまえば一人で問題なく回せる店だ。圭にとってはその気楽さが時給の高さよりもずっと大切だった。

 

 そして……、

 

「やっ。来てあげたよ」

 

「別に頼んでないよ」

 

 

 毎週、土日のどちらかに必ず顔を出していくのが小夜子だった。


121ページ

次へ    前へ   目次へ   TOPへ