罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム ケイドロとお姫様
「食べきれない〜。ちょっと食べてよ」
「小さい弁当箱買えって、いつも言ってんだろ?」
「朝に作った時は食べきれると思ったの!」
「学習しねえな」
「う〜」
むくれる小夜子に向かって、圭は手を伸ばした。
「貸してみ?」
小夜子の沈んだ顔が笑顔に変わる。小夜子は圭の後ろに回り、一緒になって弁当を覗き込む。
「今日の弁当は豪華だよ。ほら、エビ入ってるの。エビ。絶対に美味しいよ」
「どうせ残り物の味しかしねえよ」
「強がっちゃって。あたしの弁当が楽しみなくせに」
そういうと小夜子は圭の肩にわざとらしく腕を乗せてきた。圭は呆れ顔で小夜子の顔を見る。
「いや、言っておくけどお前の弁当はうまくないぞ」
「は!?」
「まあ、まずくもないけどな。普通の弁当だ」
「ありえないんだけど。その感想」
小夜子は圭の後ろ頭をはたき、廊下を歩いている友達と合流するために教室から出て行った。
弁当を受け取った圭にクラスメイトから冷やかしの声が上がる。
圭は後ろ頭をさすりながらエビフライを一口かじった。
「うん、今日も普通だ」
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