罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


 学校帰り、すっかり寒くなった外の風は強く、圭と小夜子は震えながら公園を歩いた。

 

 マフラーからすっと覗く小夜子の鼻先は赤く、指先は小さく震えている。

 

 圭はその手をぎゅっと握った。小夜子の指先は一瞬驚いたが、すぐに圭の手を受け入れて握り返した。

 

「手繋いで歩くのって初めてだね」

 

「そうだっけ?」

 

「ほら。あたし達って形だけのカップルだし」

 

「カップルはカップルだろ?」

 

 圭は握った手に力を込める。

 

「貴重な青春時代を消費してるんだから、それなりの思い出はもらわないとな」

 

「その言い回し、なんだかジジくさいよ」

 

 小夜子は笑って圭の手を握り返した。

 

 公園の並木道は枯葉で埋まっていて、寒さで吐く息は白くなる。

 

 遠くで鳥の鳴き声を聞き、圭はそっちに視線を移した。

 

「あ……」

 

「どうしたの?」

 

 小夜子も圭の見ている方に視線をやる。その先には寒さに震える子犬の姿があった。

 

「野良犬かな?」

 

「うん」

 

 二人は自然と歩く方角を変え、子犬に手を差し出した。子犬はその手を弱々しく舐める。

 

「多分、捨てられたんだろうな」

 

「震えてるね」

 

 小夜子は首に巻いたマフラーを取り、子犬の体に巻きつけた。

 


126ページ

次へ    前へ    目次へ   TOPへ