罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


「いい話だね」

 

 モモ肉を食べるのも忘れ、気がつけば優衣は圭の話しに聞き入っていた。

 

「……もう別れちゃいましたけどね」

 

「ええ!? 何で??」

 

 圭は苦笑いを浮かべながら肩をすくめた。

 

「約束の時間が来たからって言われまして……。それ以来小夜子とは会っていません」

 

 修二が首を傾げる。

 

「会ってないってのはまた極端だな」

 

 彩も小さく頷く。

 

「クラスメイトじゃないの?」

 

「転校しちゃったんですよ。まあそれ以前に、最後のほうは態度も冷たかったんですけどね」

 

 仁が背もたれに深く腰掛けた。

 

「で、あきらめきれないストーカー男は約束を破って追いかけるわけだ」

 

 仁の冷たい言い回しを聞き、優衣は机を強く叩いた。

 

「そんな言い方ないでしょ! いい話だったじゃん」

 

「約束は約束だろ?」

 

「そうですね。その通りです」

 

 圭は深く頷いた。

 

「あきらめるつもりでしたよ」

 

 みんながそろって圭の顔を見る。圭は口元で両手を組んだ。

 

「彼女が別れ際に泣いていなければね」

 

「泣いてたの?」

 

「はい。それがひっかかったんで、彼女の家をちょっと調べてみたんです。彼女は自分の家の事を絶対に話さなかったし、重大な秘密を隠してるんだと思って……」

 

 優衣がテーブルから身を乗り出す。

 

「それで!? 何か分かった?」

 

「はい」

 

 圭は誰に目線を合わせるでもなく、遠い目をして壁を見つめた。

 

「小夜子を囲っていたのは、冷たい大理石の塊でした」


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