罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


 顔を上げる圭を見て、彩は眉をしかめた。

 

「呆れた。自分をずっと騙していた女の子とまだ付き合いたいの?」

 

 圭は小さく首を横に振る。

 

「『運命って信じる?』これは小夜子の言葉です。半分冗談だったのかもしれないけど、小夜子がだしていた唯一のシグナルなんじゃないかと僕は思います」

 

 優衣は頷いた。

 

「騙したんじゃなくて、助けを求めていたと」

 

「僕にはそんな風に見えました。だから運命に一度だけかけてみようと思うんです。ここで取り戻せたなら、僕らの出会いは運命だと信じます」

 

「いいね。そういう話、好きだよ」

 

 優衣は両手で机をパタパタと叩く。それを仁が邪魔くさそうにどけ、テーブルに大きな紙をしいた。

 

 紙の中には上空写真があり、中心には馬鹿でかい屋敷がたたずんでいる。

 

「これは藤原家の屋敷だ。お前みたいな平民と釣り合うような女じゃないぜ」

 

 優衣と修二と彩が一斉に屋敷を見る。

 

「ええ〜〜? 大きい〜!」

 

「桜高校の体育館が3つは入りそうだぞ?」

 

「これだけお金持ちだと、警備もばっちりでしょうね」

 

「どうする? まだ俺らに依頼するか?」

 

「あ、その前に一つだけいいかな?」

 

 仁の質問を遮り、彩が圭の目を見つめる。

 

「依頼金の百万は自分で稼いだの? それとも親の金?」

 

「自分で稼ぎました。将来、小夜子と二人で暮らす事になったらと思って貯めていた金なんですが、いなくなったら使い道なんてありませんからね」

 

「そう」

 

 それだけ聞くと、彩は満足そうに椅子に腰掛けた。

 

 仁は懐から百万の札束を取り出し、テーブルの上の上空写真「小夜子の屋敷」の上に放り投げた。

 

「で、俺らに依頼するか?」

 

 圭はあっさりと首を縦に振った。その表情からはゆるぎない決意が感じ取れた。

 

「します。今度は僕が小夜子を助ける番です」

 


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