罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム ケイドロとお姫様
焼き鳥屋からの帰り道、優衣は彩と並んでゆっくりと歩く。
彩はグロッキーになった麻紀をおぶって、なるべく揺らさないように歩いている。
「今度のゲームは面白そうだね。彩ちゃん」
「そう? かなりめんどくさい匂いがするけど」
「だってさ。引き裂かれた二人を引き合わせるなんて、すごくいい話じゃない? 正義の味方じゃない?」
テンション高めの優衣とは対照的に彩は小さく首を横に振った。
「優衣、分かってる? 世間の常識で考えたらこれは犯罪だよ? 人様の家から娘をかっさらうんだから」
「犯罪? 小夜子さんがそれを望んでても?」
「望んでても!」
彩が頷くと、優衣は少し後ろに引いた。ヒーローのつもりだったのに、成功したら犯罪者の仲間入りという現実。彩の背中で麻紀が楽しそうに「犯罪者〜〜!」と叫んでいる。
「彩ちゃん。仁はちゃんと考えてるよね? 犯罪じゃなくて、小夜子さんを助け出せる方法を」
「さあ。あいつは犯罪を犯罪でモミ消すようなヤツだからね。平和的な解決なんて考えてもいないでしょ?」
「え? じゃあ……」
「もう腹をくくるしかないね。引き受けちゃったんだから」
「う〜〜ん」
彩の言葉を聞いて、優衣はだんだん不安になってきた。
そんな優衣の心境を察したのか、彩は優衣の頭を優しく撫でる。
「大丈夫だって。いざとなったら優衣も麻紀ちゃんも、私が守ってあげるから」
優衣は自分の中でめいっぱい男らしい顔を引き出して言った。
「いや、自分の身は自分で守るよ」
ふふっと笑う彩の後ろで、麻紀が楽しそうに「優衣は犯罪者だ〜〜!」と叫んだ。
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