罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム ケイドロとお姫様
〜好きな人ができました〜
あれから二夜明けて、作戦決行まで残り2日。
日差しはますます強くなる。
コンクリートは熱を帯び、遠くでは蜃気楼が揺れる。
優衣はパタパタと団扇で自分の顔を仰いでいた。自分の膝まで伸びた庭の草を見ながら「そろそろ毟らなきゃ」と呟く。
家のチャイムが響いた。優衣は庭から「はーい」と大きな声で返事をする。
「約束どおり来たよ」
敵意をむき出しにしたような喋り方が玄関先に響く。優衣は首を上げて遠くに聞こえるように叫んだ。
「庭に回ってー」
足音がどんどん近づいてくる。優衣は何気ない表情でその音がする方向を見つめた。
「……あんたってさ、ずるいよね。自分の有利な場所を選んでさ」
顔を出すと同時に、女は言った。優衣は笑って団扇を仰ぎ続けながら返事をする。
「だってさ、不公平じゃん? この間は言われっぱなしだったからさ」
優衣は隣の足場をポンポンと叩く。
「とりあえず座ってよ。裕子」
「……すぐ帰るからね」
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