罰ゲーム倶楽部 第3ゲーム  ケイドロとお姫様


 二人は隣同士、肩を並べあって座る。

 手元には二本のアイスキャンディー。優衣はそれを裕子に勧めながら、そのうちの一本を自分でなめ始めた。

「いやー、ありえないほど暑いね〜」

 

「……毎年こんなもんよ」

 

 「今年の夏祭りも花火やるかな? 去年はびっくりしたよね〜。いきなり花火打ち上げるんだから。あれって一発70万以上かかるらしいよ? 知ってた?」

 

「知ってるわけないでしょ」

 

「もー、ノリ悪いなー、裕子は。もうちょっといい反応してよ」

 

「……用事ってなんなのよ?」

 

 裕子がアイスキャンディーを手に持ったまま問いかける。優衣は「うん」と呟いて正面を見つめた。顔がだんだんと熱くなる。

 

「好きな人、できた」

 

「はぁ!!?」

 

 裕子が優衣の顔を覗き込む。優衣は恥ずかしそうに俯いた。

 

「好きになった理由は子供っぽくて、我ながら嫌になるんだけど。でも、一緒にいると、ドキドキするし、付き合えたら毎日が楽しいだろうなって思う」

 

「そんな事いうために呼んだわけ……?」

 

「あ、もちろんあたしが好きになったのは修二みたいな小物じゃないよ。もっともっと大人物」

 

 優衣が両手を大きく広げる。裕子の顔が目に見えて不機嫌になった。

 


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