罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん


 第一校舎を抜け、古ぼけた第2校舎に入る。長い事放って置かれた木の階段は歩くたび軋みをあげ、不気味さを演出している。

「こんな所があったなんて……」

 優衣は初めて入る第2校舎を見渡した。所々にくもの巣が張ってあり、人が使っている気配は全然ない。

「こっちだよ」

 修二は地下に降りる階段を指差した。

 優衣は階段を見下ろす。第2校舎は蛍光灯がついてなく、外の光だけが頼りだった。しかし、地下はほとんど光が届いてなく、限りなく暗闇に近い。

優衣は唾を飲み込んだ。じっとりとした空気にあたり、汗が背中を下っていく。

「怖い?」

「全然!!」

 強がってそっぽを向くが、優衣の手はカタカタと震えていた。

 修二は優衣の耳元まで近づき、ゆっくりとささやく。

「ここに招待されて、無事に戻ってこれた奴はいないよ。もちろん女も例外じゃない」

 優衣は修二を見た。修二はイタズラっこのような笑みを浮かべている。

「帰るなら今しかないよ。これが最後の忠告」

「忠告なんかいらないよ」

 優衣は自ら階段を下り始めた。

「こっちだって、ただじゃやられない。向かってくるなら全員ボコボコにしてやる」

「いいね。気の強い女は好きだよ」

 修二は笑った。さっきと違って純粋な笑みに見えた。

「さあ、行こうか」

 階段を下りきるとすぐそこにドアがあった。古くなってすすボケてはいるが、薄暗い校舎のわずかな光を反射している金属のドアは頑丈そうで、まだまだ使えそうだった。

 修二はドアにカギをさしこんだ。

「罰ゲーム倶楽部へようこそ」

 ギイっという鈍い音と共にドアが開く。優衣は額の汗を拭い、部室にゆっくりと足を踏み入れた。


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