罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
目に強烈な光が差し込んでくる。部室内の天井には全体を照らすライトがぶら下がっていて、明るさは普通の教室と変わらなかった。
部屋にはタバコの煙が充満していて、なんだかここにいるだけで目が痛い。
部室の中心には大きなテーブルがあり、7人の男たちが座っている。一番手前に座っている赤髪の男はピアスをジャラジャラとつけ、目には緑のカラーコンタクトが入っている。
その隣に座っているソフトモヒカンの男はガムをくちゃくちゃと噛んでいて、こちらには興味無さそうに目の前のトランプをいじくっている。
優衣が周りを見渡すと、意外な顔が飛び込んできた。短く、ツンツンに立てた茶髪。青白い肌。ダルそうにテーブルに突っ伏しているその姿は見覚えがある。
「啓介!?」
優衣は慌てて声をかける。啓介はゆっくりと顔を上げた。
「大声出すなって言ってんだろ? 学習しねえ奴だな」
「なんでこんな所にいるの!?」
優衣の問いに答えたのは啓介ではなく、一番奥に座っている男だった。
「そいつは罰ゲーム倶楽部の新入りだよ」
その男の異様な雰囲気は優衣にもすぐ察知できた。ダランと座ってはいるが、ゆったりとした振る舞いは隙がないようにも見える。切れ長の目から覗く鋭い眼光は格闘技をやっている優衣は今までに何度も見たことがある。勝利を収め続けてきた者の目。今まで見てきた男たちの中でも、ダントツに自信に満ちている。多分、この男は屈服を知らない。
麻紀の言うとおりだった。場数を多く踏んでいるものに宿る特有のセンサーが、優衣に警告を出す。
この男はヤバい。
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