罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
「……あなたは?」
「部長の仁(ジン)だ。よろしくな、チビっこ」
汗がにじみ出る額に前髪がぺたんとくっついた。優衣は前髪を左右に分ける。
「お前、コーヒー飲めるか?」
仁はテーブルに置いてある缶コーヒーを手に取っている。
「まあ、砂糖が入ってるなら……」
仁はフッと笑い、缶コーヒーを優衣に放り投げた。優衣は慌ててそれを受け取る。
「ありがとうは?」
「え? あ、ありがとう」
テーブルの男たちがクックと短い笑い声を漏らす。後ろを振り返ると、修二がしっかりとドアを塞いでいる。どうやら逃げられそうもない。逃げる気はないが。
仁は一番手前の空席を指差した。
「座れよ。まずは少し話そう」
優衣は黙ってテーブルについた。
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