罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん


 仁は手元の紙をとり、それをじーっと眺めている。優衣はコーヒーを一口飲んで、深く息を吐いた。

 

「私がここに来たのは、部費の件で言いたい事があるからなんだけど……」

 周りの人間はニヤニヤしながら優衣の話を聞いている。

「罰ゲーム倶楽部は30万円、部費を請求したよね?」

 仁は紙を眺めたまま、優衣とは視線を合わさない。

「これが周りの人間にどれだけ迷惑をかけるかわからないの?」

 優衣は仁を睨んだ。

「話しをするんでしょ? ちゃんとこっちを見てよ!」

「まあ落ち着けよ」

 仁は手元の紙を読み上げる。

「芹沢優衣、桜西中学を卒業。今年の春より桜高校に入学。中学2年生より空手を始め、去年は軽量級全国大会優勝。高校では全国大会進出。今の所負けナシか……。へえ。すげえな」

 優衣は唾を飲み込んだ。調べられてる。

 仁は更に続ける

「家族は3人。一人っ子。佐藤彩の幼馴染。特に仲のいい友人は同じクラスの本田麻紀。まあ、昼休みから調べたにしては上出来かな……」

 仁は紙を放り投げ、テーブルに肘をついた。


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