罰ゲーム倶楽部 第1ゲームじゃんけんぽん
「じゃーんけーんぽん、あーいこーでしょ」
罰ゲーム倶楽部のじゃんけんが始まった。優衣は周りの人の顔を見る。全員が尋常じゃない目をしていた。罰ゲームならなんでもやってやるというような。それは啓介も例外じゃなく、いくら優衣がクラスメートといっても容赦はしてくれそうになかった。
震えが止まらない。呼吸がどんどん荒くなる。優衣は心臓をギュッとおさえた。こんなに怖いのは15年間生きてきて初めてだった。
「勝負つかねえな〜」
「もう全員でやっちゃえばよくねえ?」
「それじゃ罰ゲームじゃねえだろ」
怖い。怖いよ。逃げ出したい。誰か……。
優衣は振り返った。修二がドアを押さえたままニッコリと微笑む。
ダメだ。逃げられない。
「よーし、じゃあ俺は次チョキ出しまーす」
「あははは、じゃあ俺はグーだしまーす」
「じゃあ俺はパーだしまーす」
「そしたらあいこじゃないっすか……」
「ぎゃははははは」
「おい、ちょっと黙れ。そろそろ決めるぞ」
全員がニヤニヤしながら構える。もうだめだ。逃げられない。私を救う事ができるのは私だけ。だったら……。
「じゃーんけーん……」
「待って!!!」
罰ゲーム倶楽部のメンバー達が一斉に優衣を見る。仁は優衣を睨んだ。
「時間稼ぎとかくだらない事はするなよ?」
「違うよ」
震えを必死に押さえ、声を絞り出す。
「あたしもそのゲームに入る」
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